抄録
本研究は,割合についての児童の認識の仕方を明らかにした。そこでは,3つのくじの当たりやすさを比較する調査問題を作成し,小学校第5学年の児童51名を対象として調査を実施した。調査データのスケログラム分析及び児童のプロトコルの分析を行った結果, 次のことが明らかになった。
(1)割合についての児童の認識は,5つのカテゴリーに分類できる。
(2)倍関係を認識することのできる児童は,5.9%で少ない。
(3)3つのくじそれぞれにおいて,当たりくじの総数がはずれくじの総数と等しくなると,「2つのくじそれぞれにおいて,当たりくじの総数がはずれくじの総数と等しいとき,2つのくじの当たりやすさは等しい」という考え方を使用できなくなる。