筆者の一人である榊原は栃木県宇都宮の放牧地において条虫類の中間宿主となるササラダニ類の調査中であるが, その際に新種とみなすべきササラダニの一種を見出した。本種はマルツチダニ科(新称)Mochlozetidaeに属するもので, 筆者らはこれをPodoribates cuspidatus sp. n.と命名し記載した。本邦産のPodoribates属としては, すでに岸田がP. noyorii Kishidaを記載しているが, 今回見出された種とは胴感毛(sensilli)の形態によつて区別できる。現在のところ本種の体内からは条虫の擬嚢尾虫は発見されていない。