抄録
グアテマラにおけるオンコセルカ症の主要媒介種Simulium ochraceumのOnchocerca volvulus仔虫のとりこみに関して実験を行った。仔虫のとりこみは, ブユが体表にとまってから30秒で始まった。3∿4分後には65%のブユが吸血を完了し, とりこまれる仔虫数が最高に達した。それ以後は吸血時間がのびても, とりこみ量は増加しなかった。仔虫密度が皮膚10(mm)^2あたり55∿116匹の中程度に感染した人にあっては, とりこまれる仔虫の数は皮膚中の仔虫の密度と関連していた。しかし仔虫密度が1.8と非常に低い人の場合に, 異常に高い仔虫のとりこみが観察された。このことは, 皮膚中の仔虫密度が低い場合には, 仔虫がブユの吸血時に誘引あるいは何らかの刺激を受けることを示唆するものかもしれない。