テトラメスリン(フタルスリン)の異性体のうち, d-シス菊酸エステルとd-トランス菊酸エステルの混合比2 : 8からなる化合物d-テトラメスリンの殺虫活性を数種の衛生害虫を用い, 種々の施用法により, 既存ピレスロイドと比較検討した。局所施用法によるd-テトラメスリンのイエバエ・カ・ゴキブリ成虫に対する致死効果はテトラメスリンの約2倍であり, d-アレスリンや天然ピレトリンと同等であった。一方, d-テトラメスリンのノックダウン効果は著しく, テトラメスリン・d-アレスリンおよび天然ピレトリン以上の速効性を示した。また, ゴキブリに対するフラッシングアウト効果においても, 対照ピレスロイド以上の速効効果を示した。したがい, d-テトラメスリンはノックダウン効果およびフラッシングアウト効果において, とくに速効性の優れる合成ピレスロイドといえる。また, 共力剤やd-フェノトリン等の致死効果の高いピレスロイドの添加による致死効果増強によって広い実用性が期待される。