抄録
グァテマラ共和国の高地, シエラ・マドレの標高2,800∿2,900mから流れ出る二つの川の最上流で, ブユ相, 幼虫と蛹の個体数密度の季節変動, およびその化性を調べた。採集個体数の多い順に, Gigantodax wrighti, Simulium (Eusimulium) sp., Simulium (Simulium) tricornis, S. (S.) anduzei, S. (S.) jobbinsiの2属5種が採集された。G. wrightiとS. (E.) sp.は特に個体数が多く, この2種の合計はそれぞれの川の総採集個体数の80%以上を占めた。採集された5種の個体数密度は雨季の始まりから乾季の前半まで高く, 乾季の後半は低い。各月の幼虫の頭幅値の頻度分布から, G. wrightiは雨季に2世代, 乾季に1世代, 計年3世代, S. (E.) sp.は雨季乾季共に2世代ずつ, 計年4世代経過するものと考えられる。