2018 年 69 巻 2 号 p. 61-65
2017年の夏季に千葉県の機械工場の緑地において,背負式ミスト機を用いてエトフェンプロックスを散布し,ヒトスジシマカAedes albopictus成虫に対する防除効果と非対象生物に及ぼす影響を評価した.ヒトスジシマカ成虫は薬剤散布直後に散布エリアで0個体となった.薬剤散布エリアにおいて,ヒトスジシマカは薬剤散布1日後には捕獲できなかったが,2日後に再び捕獲できた.その後,徐々に捕獲数は増加し,散布20日後には薬剤散布エリアと非散布エリアの全地点でヒトスジシマカ成虫が捕獲された.薬剤散布は非標的生物であるダンゴムシ類に大きな影響を及ぼした.ダンゴムシ類は薬剤散布後に散布エリアで0個体となった.薬剤散布8日後には薬剤散布エリアと非散布エリアの全地点でダンゴムシ類が捕獲された.一方,灯火に飛来する昆虫類に,薬剤散布は大きな影響を及ぼさなかった.本試験の結果から,媒介蚊成虫の対策のための薬剤の処理方法として空間処理は適当であるが,その散布方法は非標的生物にも影響を及ぼすことが明らかとなった.薬剤処理エリアを判断するために,効率的・効果的なモニタリング方法がますます重要となるだろう.