日本組織適合性学会誌
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総説
MHCクラスI抗原認識受容体
平安 恒幸屋部 登志雄
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2005 年 12 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

主要組織適合性遺伝子複合体(Major Histocompatibility Gene Complex, MHC)は名称の通り臓器移植時の適合性を担う同種(アロ)抗原の最強のものとして発見され, その後の解析から自己生体内において(外来)非自己抗原をT細胞に提示する役割を担う獲得免疫反応誘導の中心分子であることが判明した. クラスI抗原は全身の殆どの細胞表面に発現し, ペプチド結合溝内に自己ペプチドを結合している場合には正常自己細胞マーカーとして働く一方, ウィルス感染細胞やがん細胞においては細胞内で合成される非自己抗原ペプチドを結合してCD8陽性キラーT細胞に認識させ発現細胞の破壊除去を誘導することで免疫学的監視機構を構築している. 多種多様な異物抗原ペプチドを結合溝内に結合してT細胞受容体に提示するためにクラスI抗原遺伝子座は高度な多型性を獲得したと考えられるが, それは同時に代償として強力なアロ反応性をもつことにもなった. このために移植時においてアロ特異性T細胞やアロ抗体によるクラスI認識反応から強力な拒絶応答やGVHD反応が引き起こされる.

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© 2005 日本組織適合性学会
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