日本未病システム学会雑誌
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早食い習慣は糖尿病を含む耐糖能異常発症のリスクファクターである
戸塚 久美子前野 貴美齋藤 和美谷内 洋子菅原 歩美佐藤 睦美西垣 結佳子齋藤 あき小野 幸雄内藤 隆志曽根 博仁
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2008 年 14 巻 2 号 p. 195-198

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抄録

目的: 人間ドックのデータを活用して, 食習慣が耐糖能異常 (IGT) および2型糖尿病 (DM) 発症に与える影響を前向きに検討した。
方法: 75g経口糖負荷試験を含む人間ドックを3年間の間隔で2回以上受診した男女230名のうち, 初回ドック受診時にIGTまたはDMと判定された者, DMの既往 (治療中を含む) をもつ者を除いた計172名 (男性120名, 女性52名, 平均年齢49.4±5.0歳) を対象者とした。IGTとDMの診断にはWHOの判定基準を用いた。初回受診時に, 「早食い」「欠食」「間食」「夜食」「外食」の各食習慣の有無を二択法により自己申告させ, その結果とその後のIGT, DMのいずれかの発症との関係を多変量解析により解析した。
結果: 3年間の追跡期間中, 合計39名 (男性33名, 女性6名) が, IGT (37名) またはDM (2名) を発症した。IGTまたはDMの発症を目的変数とし, 観察開始時の性別, 年齢, 喫煙, アルコール摂取量, 糖尿病家族歴, 収縮期血圧, 総コレステロール, HDLコレステロール, 中性脂肪, C反応性タンパク, 早朝空腹時血糖を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った結果, 「早食い」の者のオッズ比 (95%信頼区間) は, 2.63 (1.15-6.02, P=0.02) と有意であったのに対し, その他の食習慣はいずれも有意な関連を認めなかった。
結論: 自己評価に基づく「早食い」は, 独立したIGT/DMの危険因子となることが示された。

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