日本未病システム学会雑誌
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カルシウムおよびカゼインホスホペプチド添加大豆加工食品の性質と機能性
手塚 正教岸 光男山口 正義
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2003 年 9 巻 1 号 p. 109-117

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抄録

豆乳にカルシウムとカゼインホスホペプチド (CPP) を添加し豆腐を製造し, その豆腐の諸性質を明らかにするとともに, 豆腐中のCPPの定量方法, 人工消化試験後の残存CPPによるカルシウムの可溶化能, さらには豆腐の凍結乾燥品をもとに調製した飼料をラットに経口摂取させ大腿骨の重量を測定し, カルシウムおよびCPPを含有した豆腐の機能性を検討した。
1) カルシウム成分としてシェルパウダー (明治製菓 (株) 製) を含む豆腐はpHが高く, ゲル強度が低かった。
2) 豆腐中のCPPが電気泳動で検出され, さらにHPLCによって定量が可能になった。
3) 豆腐中のCPPは, 10℃で10日間保存しても分解されず, 安定であった。
4) CPPとカルシウムを含む豆腐 (カルシウム豆腐) は, ペプシン, トリプシン, キモトリプシン, アルカリホスファターゼによる人工消化試験後でも, CPP-III由来の有機リンが人工消化前の65%保持され, リン酸カルシウム沈澱阻止能は57%維持されていた。さらにカルシウムのみを含む豆腐 (シェルパウダー豆腐) と比較して, 可溶性カルシウム濃度が約40%上昇した。
5) 豆腐を凍結乾燥し調製した飼料を卵巣摘出ラットに摂取させた結果, 擬似手術ラットと比較して, 体重, 血清カルシウム濃度に変化はなかったが, 大腿骨長, 大腿骨重量, 骨密度, 骨幹部カルシウム量, 骨幹端部カルシウム量は有意に低下した。しかし, この低下現象はCPPを含むカルシウム豆腐を摂取したラットでは有意に抑制された。この効果は, 脱リンCPPを含む豆腐を摂取したラットではみられなかった。

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