自然発生微細藻類集団とは,自然に増殖してきた複数の微細藻類やバクテリア,原生生物も含む集団である.容易に培養できることから低コストの藻類バイオマス生産方法として世界で研究が進んでいる.しかし,日本では福島県で行われた研究例があるのみである.そこで,佐賀県佐賀市のビニールハウス内の100L培養水槽2基にいて自然発生微細藻類の長期 培養を試みた.その結果,2019年4月から2020年8月まで1年以上にわたる自然発生微細藻類の連続培養に成功した.培養開始当初,複数の微細藻類種が観察されたが,多様性は次第に減少し2019年9月以降 Scenedesmus spp. が優占した状態となった.増殖していた生物のほとんどは培養期間を通じて微細藻類であり,2020年4,5月には培養液の乾燥藻体密度は0.6g/L以上を記録した.培養期間を通じて,乾燥藻体密度の変動と光量子束密度の1日での最高値の変動は相関しており,増殖に光条件が大きな影響を与えていると推察された.また,生産されるバイオマスの総脂質含有率,脂肪酸組成などについても月1回分析したところ,2019年から2020年にかけ Scenedesmus spp. が優占するにしたがって総脂質含有率は約5%から約10%(乾燥藻類体重量%)へと増加傾向にあった.どの月も含有率が高かった脂肪酸は,α-リノレン酸,パリミチン酸,オレイン酸などであった.また,最大0.02%のドコサヘキサエン酸(DHA),0.3%のエイコサペンタエン酸(EPA)の産生も認められた.