ミルクサイエンス
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原報
αs1–カゼインのカテプシンD分解物のトリクロロ酢酸沈殿におよぼす溶媒の影響
五十嵐 康雄
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2001 年 50 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

 脱脂乳より既報の沈殿分画法によってαs1–カゼインを分離し, その分離の過程を尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動 (Urea-PAGE) によって調べた。このαs1–カゼインを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)中, 37℃でカテプシンDによって加水分解した。Urea-PAGEによれば, この反応によって多数の分解物が観察されたが, これらの成分は未分解のαs1–カゼインと同様にトリクロロ酢酸(TCA)を2%加えることによりほとんど沈殿した。この時, 尿素を加えることによって分解産物は部分的に上澄み中に遊離するのが認められた。2%TCA-3.3M尿素を沈殿系に用い, さらにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を40 mMまで加えた時, 沈殿の形成がやや促進された。2%TCA–3.3 M尿素系に0.1%トリトンX-100を共存させた時, 分解物の上澄みへの移行が顕著であったが, 未分解のαs1–カゼインも同様に上澄みに移行した。この沈殿系にさらにEDTAを40 mMまで加えた時, 上澄みへの移行がさらに促進された。これらの結果からαs1–カゼインの酵素分解物の分画を行なう際には, 未分解のαs1–カゼインも含めてペプチド間の疎水相互作用に対する配慮が必要であると思われた。

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© 2001 日本酪農科学会
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