ミルクサイエンス
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原著論文
人工カゼインミセル濃縮液の低温保持による粘度上昇
塩川 雅史金丸 義敬矢部 富雄青木 孝良
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2012 年 61 巻 3 号 p. 199-204

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抄録

 人工カゼインミセル(ACM)溶液(カゼイン2.5%)を調製し,3.5倍以上に濃縮して冷蔵すると,経時的な粘度の上昇が観られた。濃縮率が大きいほど,冷蔵保存中の粘度上昇は著しかった。脱脂乳を4.5倍以上に濃縮して冷蔵すると同様の増粘現象が観られたことから,カゼインミセルが増粘の主要因であることが示唆された。ACM 濃縮液に 1-2%の乳糖を添加すると増粘速度が小さくなり,乳糖が増粘を抑制する効果が確認された。ACM 濃縮液中のカルシウム濃度を上げてカゼインミセルの形成率を上げると増粘が促進されたことから,カゼインミセルの相互作用の増加が増粘を促進したと考えられた。ACM 溶液中のカルシウム濃度は粒子径分布に影響せず,増粘した ACM 濃縮液中のカゼインミセルの粒子径分布は濃縮前の ACM 溶液の粒子径分布と一致した。脱脂濃縮乳と同様に,増粘に伴うカゼインミセル間の相互作用は,可逆的かつ弱い相互作用であると考えられた。

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© 2012 日本酪農科学会
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