ミルクサイエンス
Online ISSN : 2188-0700
Print ISSN : 1343-0289
ISSN-L : 1343-0289
原著論文
Kluyveromyces marxianus KD-15 カタボライト抑制解除株を用いたチーズホエイを原料とする糖化同時発酵におけるエタノール生産量の改良
折笠 善丈佐藤 遥子大和田 琢二
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 65 巻 2 号 p. 81-88

詳細
抄録

 チーズホエイを原料に用いた焼酎製造法を検討するため,カタボライト抑制解除株 Kluyveromyces marxianus KD-15 を用いて,チーズホエイを加えた糖化同時発酵におけるエタノール生産量を改良した。Aspergillus luchuensis あるいは A. oryzae で作成された麹と酵母 3 株(K. marxianus NBRC1963(親株)と K. marxianus KD-15, Saccharomyces cerevisiae NBRC10515)を組み合わせ,培養混合物中の pH,グルコースとラクトース含量,α アミラーゼと糖化力,並びにエタノール含量を経時的に21日間測定した。その結果,K. marxianus KD-15はいずれの麹との組み合わせでもエタノール生産量が他の酵母株よりも有意に高く,A. luchuensis との組み合わせでは,親株,及び S. cerevisiae NBRC10515 より約30%向上した。α-アミラーゼ,および糖化力は培養とともに低下傾向を示したが,K. marxianus KD-15 はいずれの麹との組み合わせでもラクトース消費量が最も高かったことから,K. marxianus KD-15 による高いエタノール生産は,デンプン由来のグルコースよりもチーズホエイ由来のラクトース消費量の影響を受けると考えられた。以上の結果から,K. marxianus KD-15 はデンプン質の混合原料の存在下でも高いチーズホエイの資化とエタノール生成能を有し,チーズホエイを原料とした焼酎製造への有用性が示された。

著者関連情報
© 2016 日本酪農科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top