ミルクサイエンス
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原著論文
塩化ナトリウム添加培地で培養したLactobacillus sakei HS-1株とそのプロテイナーゼ処理物はIL-12産生を強く誘導する
飛田 啓輔岩佐 悟小田木 美保武田 文宣
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2019 年 68 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

 発酵食品であるキムチから単離されたLactobacillus (Lb.) sakei HS-1株(HS-1)は,漬物の発酵スターターとして利用されている。本研究では,HS-1の抗アレルギー作用を明らかにすることを目的として,マウス由来マクロファージ株化細胞J774.1のIL-12p40産生に及ぼすHS-1の影響を検討した。J774.1細胞培養上清中のIL-12p40濃度とIL-12p40 mRNA発現量は,無添加の場合と比較してHS-1の添加によって有意に高くなった。また,HS-1によるIL-12p40産生促進作用は,Lb. sakeiの標準菌株や植物性発酵食品から分離された乳酸菌と比較して有意に高かった。一方,著者らはHS-1が2%, 4%,および6%塩化ナトリウムを添加したMRS液体培地において増殖することを明らかにした。また,4%塩化ナトリウムを添加したMRS液体培地で培養したHS-1のIL-12p40産生促進作用は,塩化ナトリウム無添加の場合と比較して有意に高かった。さらに,それらの活性はプロテイナーゼK処理によって顕著に高まった。これらの結果は,塩化ナトリウム存在下で培養したHS-1がマクロファージによるIL-12p40産生を強く促すことを示唆している。このように,HS-1はアレルギーを軽減する食品の開発に期待できると考えられる。

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© 2019 日本酪農科学会
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