ミルクサイエンス
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原著論文
ウシラクトフェリン経口投与のアルコール性肝障害モデルラットに対する効果の検討
織田 浩嗣田中 美順山内 恒治阿部 文明
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2020 年 69 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

 目的:ウシ初乳の摂取がアルコール性肝炎を改善することが予備的臨床試験で報告されている。ラクトフェリン(LF)は初乳に豊富に含まれるため,LFとそのペプシン消化物(LFH)の経口投与がアルコール性肝障害モデルラットに与える影響を検討した。方法:対照群は,エタノールを含まない液体飼料で6週間飼育し,0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を10 mL/kg体重で毎日ゾンデ投与した。エタノール群,LF群,LFH群は,5%のエタノールを含む液体飼料で飼育し,0.5% CMC水溶液,3%LF,LFHを含む0.5% CMC水溶液を10 mL/kg体重で毎日ゾンデ投与した。2,4,6週目に血液を採取し,血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT),トリグリセリド(TG),総コレステロール(T-Cho)を測定した。更に6週目に血清尿酸値,肝臓の病理組織,遺伝子発現,臓器重量を解析した。結果:血清AST,ALT,TG,T-Cho,尿酸値は対照群でエタノール群と比較して有意に低かった。2,4週目のALT,4週目のT-Cho,尿酸値はLFH群でエタノール群と比較して有意に低かった。肝臓のIL-11,ADH1,ALDH2遺伝子発現はLF群,LFH群でエタノール群と比較して有意に高かった。結論:LFとそのペプシン消化物の摂取は肝保護サイトカイン(IL-11),アルコール代謝酵素(ADH,ALDH)の産生を誘導することが示唆された。また,LFHの摂取が,アルコールの継続摂取により引き起こされる肝障害を一定期間抑制する可能性が示された。

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© 2020 日本酪農科学会
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