ミルクサイエンス
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原著論文
キャピラリー電気泳動飛行時間型質量分析を用いた殺菌ヨーグルトの生理機能の推測
宮地 一裕桒野 靖之丸山 広志井上 肇東 徳洋
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2020 年 69 巻 3 号 p. 135-145

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抄録

 近年,生菌ヨーグルトを含むプロバイオティクスだけでなく,乳酸菌の殺菌体およびその代謝産物によるポストバイオティクスの研究に注目が集まっており,その生理機能が次々に解明されている。殺菌ヨーグルト(乳酸菌を殺菌したヨーグルト)についても生理機能が報告されているが,関与物質は明らかになっていない。そこで,本研究では生菌および殺菌ヨーグルトに対してCapillary Electrophoresis Time-of-Flight Mass Spectrometryを用いて代謝産物を含む微量成分を解析し,殺菌ヨーグルトの特徴である二次殺菌(発酵後,乳酸菌を殺菌する工程)による生理機能物質への関与を確認することとした。合計221の物質が検出され,生理機能を有するnicotinamide, cytidine, 5′-deoxy-5′-methylthioadenosine, N-acetylneuraminic acidの増加が確認された。また,trans-glutaconic acid, malic acid, succinic acid, S-adenosylmethionine,遊離アミノ酸の減少が確認されたが,各物質の生理機能,定量値の観点から二次殺菌による殺菌ヨーグルトとしての生理機能への負の影響は小さいと考える。一方で,短鎖脂肪酸を含む多数の捕捉成分には有意差がみられなかった。筆者らが知る限り,本研究は二次殺菌工程が代謝産物を含むヨーグルトの微量成分に与える影響を調査した初めての研究であり,その結果,二次殺菌が生理機能にポジティブな影響を与える可能性が示唆された。

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© 2020 日本酪農科学会
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