ミルクサイエンス
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原著論文
加熱が澄ましバター,Gheeの品質に与える影響
横川 貴美渥美 聡孝柳川 昴諒大塚 功
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2020 年 69 巻 3 号 p. 146-154

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抄録

 澄ましバター(CB; clarified butter)は料理によく使用され,インド伝統医学であるアーユルヴェーダではGheeとも呼ばれる。CBはバターを加熱,ろ過することでタンパク質を除き調製される。また調製後再加熱にて使用されることが多いため,加熱による油の酸化や機能性成分の分解が推測される。本研究では,CB調製時の加熱と利用時の再加熱がCBの品質に及ぼす影響を検討した。加熱方法や再加熱方法を変えた各種のCBを調製し,レチノール,α-トコフェロール(α-Toc),油脂酸化のパラメータを測定した。調製時に油から水やタンパク質が分離し,透明になった後0, 15, 30分加熱したものは,レチノール,α-Toc,過酸化物の値にほとんど影響はなかったが,時間依存的に褐色に変色していた。140℃で15, 30分間再加熱したものは,色が褪色し,レチノール,α-Toc含量が減少し,過酸化物価が時間に依存して増加した。これらの変動は,メイラード反応による抗酸化物質メラノイジンの産生と関連していると推察される。以上の内容から(1)油分離後,30分以下の加熱では品質にほとんど影響を与えないこと(2)除タンパクされたCBは,140℃での再加熱が品質劣化の原因となることが明らかとなった。高品質なCBを調製,利用するために,温度管理とタンパク質の存在下での加熱が重要である可能性が示された。本調査は,CBおよび代替医療としてのGheeを調製する際の,栄養機能や品質の安定化に資する研究である。

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© 2020 日本酪農科学会
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