多分化間接触が日常化した今日,異文化イメージや文化的自画像などインタフェイシャルな文化表象とそのレトリックをめぐる文化関係論的研究も,文化人類学の視野に収められなければならない。このような視点から,本論ではヨーロッパのラテンアメリカ認識を貫いてきた文化間性差の論理を抽出し,それに対する反応として,先住民文明の称揚を中心とする近代メキシコの文化的自画像の生産と消費を分析する。新自由主義経済の台頭やサパティスタ蜂起など近年メキシコに生起する諸現象についても,文化的自画像の模索という観点から考察する。