民族學研究
Online ISSN : 2424-0508
考古学者が提示する狩猟採集社会イメージ(<特集>自己イメージと抵抗 : 採集狩猟社会を事例に)
小川 英文
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1998 年 63 巻 2 号 p. 192-202

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抄録

考古学は東南アジアの狩猟採集社会のイメージを, 博物館展示やモデルなどの場で生産してきた。これらのイメージの変遷を検討すると, 研究の枠組みや方法論の変化があったにもかかわらず, 現在でも考古学は狩猟採集社会を「非文明」イメージのなかに「隔離」してきたことが理解できる。しかし先史時代の狩猟採集社会と農耕社会との間に相互依存関係が存在したとする最近の仮説は, カラハリ論争における修正主義者の論点と同様に, 狩猟採集社会に対する「非文明」イメージの虚構性に再考を迫るものであった。本稿では考古学者が東南アジアの狩猟採集社会に対して抱いているイメージの虚構性を打破し, 狩猟採集社会の「歴史の回復」をめざす理論的枠組みの可能性について考察する。

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© 1998 日本文化人類学会
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