2020 年 7 巻 p. 221-240
本研究は,日本国内のK大学で行われている英語での授業に対して、留学生による授業評価アンケートを分析し、教員による適切な回答が授業満足度に与える影響を検討した。また、補助的に、授業中における日本人学生との交流機会、教員の英語のわかりやすさ、ティーチング・アシスタント(以下、TA)の授業への貢献度、授業の見通しが、授業満足度に与える影響も調査した。授業評価アンケートは、2010 年から2018年の9年間にわたって、各学期に中間と期末の2 回実施され、分析対象となった授業科目数は延べ 382 科目、サンプル数は 9,672 件である。 SPSS による分析の結果、教員が適切な回答をしている授業は満足度が高く、また日本人学生との交流機会も満足度に影響を与えていた。そして、教員の英語のわかりやすさと授業の見通しも、授業満足度に関係していたが、TA の授業への貢献度との関連はみられなかった。本研究より、英語による授業を担当する教員にとって、学生からの質問に対して適切に回答すること、日本人学生との交流機会を提供すること、学生とのコミュニケーションを重視すること、わかりやすく適度な声で話すこと、授業の見通しを工夫することの重要性が示唆された。