本論の目的は、現在の日本で広く使用されている「共創」という概念を批判的に検討することにより、大阪大学人間科学研究科、および同研究科附属の未来共創センターで推進されている「共創」と「共創知」構築の試みの特徴を論じることにある。従来型の共創は、大学内で生成された専門知を社会に適用する、そして共創の目的は価値創造とイノベーションを引き起こすことという側面が強い。それに対して、人間科学型の専門知はそもそも大学の外でフィールドワークによって、つまり様々な人びとの共創によって生成するものであり、共創の過程と共創知の生成は不可分に結びついていることが明らかにされる。