2019年に日本における留学生は約30万人になり、過去最高の人数に達した。留学生は災害発生時に要援護者になる可能性が高いことが指摘されている。したがって、災害による留学生への影響を軽減することは社会にとって非常に重要な課題である。 本稿では関西にある私立大学Aの留学生を対象として仮説検証法を用いて実施したアンケート調査の結果を分析し、彼らの防災力についての問題点を導出することを目的とした。また、留学生には日本人と異なる対策が必要であると考えられるため、同様のアンケート調査を日本人学生にも実施し結果の比較を行った。分析の結果、防災教育と避難訓練を受けた留学生は日本人より少なく、正しい地震の知識をもっている留学生も少なかった。また、留学生は日本人学生と比べて防災対策の実施率や地震発生後の行動の理解度が低く、適切な行動を取ることができないことも明らかとなった。したがって、留学生に対する防災教育と避難訓練の重要性が明らかとなった。その調査結果を踏まえて、今後の留学生に対する防災力向上に向けた政策を提案する。