2011 年 29 巻 4 号 p. 191-199
本稿では,3次元胸部X線CT像群から多発性小肺結節の対応付け手法を提案する.肺結節の経過観察は臨床において肺がんの良悪性判別および抗がん剤治療評価の重要な手段である.しかしながら,経時CT像は肺野形状および,肺野領域内の構造物の位置が変化する.また,多発性小肺結節の場合,数百個の結節が発生する可能性がある.さらに,経時CT像において,肺結節の結合・分離および発生・消失などの変化が生じる.よって,読影医が経時CT像群から肺結節を観察するのは大きな負担になる.そこで,本研究は3次元胸部経時CT像群から多発性小肺結節の自動対応付け手法を提案する.本手法はまず,剛体および非剛体レジストレーションを用いて各経時CT像の肺野領域を位置合わせする.その後,肺結節の経時変化を考慮し,結節の重心点間距離,および直径や平均CT値などの特徴量を用いて対応付けを行う.胸部X線経時CT像3症例14画像に対して本手法を適用した結果,同定成功率が94.6%(37組中35組)であった.