Medical Imaging Technology
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特集/システム開発論文
前臨床画像システムのためのX線生体顕微法の開発
梅谷 啓二ジェームスティー ピアーソンダリルオー シュウェンケ白井 幹康
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電子付録

2012 年 30 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

実験動物を使った微小循環異常を初期症状に持つ高血圧や糖尿病などの研究は,病気のメカニズムの解明や治療法開発のために重要である.このために生体中の血管を直接に光学顕微鏡で観察する生体顕微法が利用されている.大型放射光施設SPring-8では,放射光を用いて空間解像度がマイクロメータオーダのX線動画像撮影が可能である.そして,血管内に造影剤を注入して血管を画像化する血管造影により,光学顕微鏡での観察のように臓器を露出することなく,さらに臓器の表面だけでなく内部の血管も観察できる.まず,冠状動脈の形態や機能異常の観察を目指し,糖尿病モデルラットを使い血流量や血圧の制御に関係する細動脈レベルの細い血管で,血管内皮細胞の機能障害を画像化した.この結果,光学顕微鏡を用いた生体顕微法と同等な解像度で,ヒトの診断画像に近い冠状動脈の解剖学的構造をラットで画像化した.さらに,光学顕微鏡では難しい心筋内の血管まで画像化でき,新たな前臨床画像システムとしてX線生体顕微法を確立した.

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© 2012 日本医用画像工学会
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