2012 年 30 巻 2 号 p. 123-129
PET画像は空間分解能が低い画像のため,小さい腫瘍では部分容積効果の影響を大きく受けFDGの集積度が過小評価されてしまう.そこで,本稿ではTotal Variation正則化法を用いたRichardson-Lucyアルゴリズムによるデコンボリューション法による部分容積効果の補正法を提案する.提案手法ではまず,B-Spline補間法を用いて画像を拡大する.次に,Total Variation正則化法を用いたRichardson-Lucyアルゴリズムによるデコンボリューションを行い部分容積効果の補正を行う.なお,デコンボリューションの際に使用する点広がり関数にはガウス関数を用いた.本手法を直径6~40mmの12個の球状ファントムを撮影したPET画像に適応した結果,8mm以上のファントムにおいて部分容積効果を補正することができた.また,Total Variation正則化法を用いたRichardson-Lucyアルゴリズムを用いたことにより,理論値に近い補正結果を得ることが可能となった.さらに,臨床画像に適応した結果,FDG集積した小さい脳腫瘍の背景に対するコントラストが改善された.