Medical Imaging Technology
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特集/システム開発論文
多施設臨床研究管理システムの開発と有効性―J-ADNI臨床研究における事例―
舞草 伯秀山下 典生田中 健一郎佐藤 典子岩坪 威
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2012 年 30 巻 2 号 p. 92-102

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抄録

アルツハイマー病の本質過程に直結した代理マーカー策定のための大規模な多施設臨床研究(J-ADNI)が,わが国においてオールジャパン体制で発足した.これはアルツハイマー病の進行動態を,臨床・心理・画像・生化学などの多様な検査から,正確にかつ客観的に評価する方法を策定する試みである.J-ADNIではこれら多様な検査が行われるが,通常このような大規模なデータの集積とデータの品質管理には多大な労力とコストを要する.この問題に対して臨床検査の結果を電子的に取得し,コンピュータ上で管理するシステムが有効であるが,現存のシステムは医師の所見や計測値のみを対象としているものが主流であり,画像データとそれに付随する撮像条件まで管理したシステムの例は見られない.そこで本稿では,大規模データの保存管理とデータ品質維持のためのチェック機構,ならびに被験者の検査状況を一元的に管理する研究管理システムの構築を提案する.これにより被験者に紐付けられた検査データが適切に集積され,客観指標策定のための解析に活かされる.本システムは症例報告書の管理を基本とした従来のシステムに加えて,撮像プロトコルを含めた臨床画像データの管理も行うものである.本システムの提案により,今後J-ADNIのような画像検査を含む多施設臨床研究におけるシステム運用の適用範囲の広がりが示された.

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© 2012 日本医用画像工学会
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