2012 年 30 巻 5 号 p. 256-261
高精度放射線治療において,治療最中の患者の動きはターゲットへの線量カバーやリスク臓器への保護に対する精度を低下させる.そこで,我々は患者体位変化をリアルタイムにモニタリングするシステムを設計・開発した.本システムはWebカメラとテンプレートマッチングをベースとした自作ソフトウェアがインストールされたコンピュータで構成されている.このシステムの精度は呼吸同期ファントムを用いて評価し,また健常ボランティアの協力を得て,有効なマーカボックスの位置についても評価した.本システムは1mmの位置測定精度および50msecの時間分解能を有し,この結果はAAPM Task group 142のガイドラインに許容されるものであった.また,マーカボックスの設置位置に関し,統計的有意に腹部に比べ胸骨の方が良好であるという結果であった.本システムは術中の患者体位変化を管理することが可能であり,高い精度で治療を実施することができるといえる.