2013 年 31 巻 1 号 p. 32-41
近年の3次元医用画像の高精細化により,画像の解析や特徴量の算出には膨大な計算量を必要とするようになってきた.これを解決するために,並列処理を行うことが近年の主流となりつつある.並列処理用のライブラリとしてはMPI(message passing interface)が一般的であり,高速な処理を実現できる.しかし,並列処理を行う際にはデータの送受信や分割の方法をユーザが指定する必要があり,プログラミングが煩雑となる.そこで先行研究では,MPIを用いた並列プログラムの作成支援マクロを提案している.しかし,医用画像分野において広く用いられているITK(the insight segmentation and registration toolkit)のように独自のデータ構造を持つ画像処理ライブラリには対応できていない.そこで本研究では,ITKのデータ構造をそのまま利用可能で,汎用的に用いられるプログラム記述に対応したマクロを作成した.本手法を用いてITKを用いた逐次プログラムを並列化することによって,本手法の有効性を示した.