抄録
本稿では,医用画像処理ライブラリであるITK(Insight Segmenta tion and Registration Toolkit)を利用したプログラムを簡便にGPGPU(general-purpose computing on graphics processing units)によって並列化するための開発支援環境について述べる.近年,CT撮影装置の進歩により1症例あたりの情報量が増大している.得られたCT像に含まれる情報を用いてコンピュータ支援診断(computer-aided diagnosis, CAD)を行うためには膨大な計算コストが必要となり,計算の高速化が必須となる.筆者らは,これまでにITKに対してGPUによる並列計算を適用することによって,任意の画像処理の高速化を簡便に行うための手法を提案した.本稿では,提案手法の原理,使用方法および適用例を紹介する.