2015 年 33 巻 1 号 p. 7-12
アルツハイマー病に代表される認知症は,高齢化社会を迎えるわが国の健康上の最大の心配事のひとつである.われわれは,認知症などの脳変性疾患の早期診断法の確立を目指して2002年より「石川ブレインイメージング研究」に取り組んできた.これまで1,365例の地域ボランティア被検者と590例の認知症(疑い含む)患者にMRI/18F-fluorodeoxyglucose(18F-FDG)PET検査を施行してきた.その結果,ボランティア被検者であってもさまざまな疾患を抱えている場合があり,健常者の基準を満たさない例も数多く存在すること,アルツハイマー病には多様性があり,海馬にほとんど萎縮がなく,代謝低下の中心部位である後部帯状回に脳萎縮を認める場合もあることなどを明らかにしてきた.今後,これまで蓄積したデータが日本の多施設認知症研究でどのように利用できるかを検討中である.