2015 年 33 巻 5 号 p. 197-202
近年,読影者の負担や病変の見落としの軽減,診断能の向上のためにコンピュータ支援診断(CAD)が注目されている.乳房X線画像用CADは実用化されているが,乳がんの代表所見のひとつである構築の乱れの検出精度が低いことが課題となっている.本研究では病変の検出率の向上を目的として,われわれが以前に考案した構築の乱れの自動検出手法(従来手法)に塊状パターンを強調する手法を統合させた手法を提案する.本手法の構築の乱れの検出には適応型ガボールフィルタ,塊状パターンの強調にはアイリスフィルタを適用する.得られたフィルタ画像から集中度を算出し,病変の候補領域を得る.検証には乳房X線画像200枚を使用し,そこに含まれる63個の構築の乱れを検出した結果と医師の読影レポートを比較した.従来手法では真陽性率73.0%であったのに対し,提案手法では真陽性率79.4%となり,提案手法の有用性が確認された.