より特異的ながんイメージングは,より正確な治療を可能にし,さらに超特異的がん治療は,がんに対しては強力でありながら,患者の体に対してはやさしい治療になりうるはずである.より良いがんの臨床を追い求める医学研究者として,更なる「病気に厳しく,患者の体に優しい」方法の開発が,究極の目標である.この稿では,現在臨床で行われている画像診断技術の基礎や限界について解説したのち,より良い方法の確立を目指して私たちが開発してきた特異性を重視した次世代の生体分子イメージング方法論,それに基づいた造影薬剤作成と利用の基本理念,さらに現実の医療に実用可能な開発の方向性についても解説したい.加えて,次世代のイメージング技術の新たな進化形である,副作用の少ない超特異的がん治療である「近赤外光線がん治療」についても紹介したい.