2017 年 35 巻 1 号 p. 11-17
レジストレーションという用語は,医用画像解析の分野ではおもに画像上でのピクセル同士の対応関係を求める処理を指し,手術ナビゲーションシステムやロボット手術の分野では,光学式位置センサやロボットベースによって定義されるワールド座標系と患者に設定したローカル座標系との相対位置を求める処理を指す.両者は共に,別の計測装置で定義された計測空間同士の変換(写像)を求めることで2つの計測データを共通の座標系上で比較するための処理である.両分野での応用における相違点は,対象とするデータが画像,つまり格子状の離散座標点での画素値の集合である場合には変換後の座標値が必ずしも格子状でないため,何らかの補間が必要となるという点であるが,本質的な考え方は共通する.しかし,応用分野の違いからこれらのレジストレーションが統一した用語で説明されることは少ない.本稿では特にこの点を意識し,共通する要素技術である変換関数,類似度関数,最適化手法について概説するとともに,本研究分野の今後の展望について述べる.