2017 年 35 巻 3 号 p. 167-170
X線CT(computed tomography)撮影における被ばく線量と画質との関係について,他のX線撮影系と同様に,(非常に一般的な意味において)“被ばく線量を増やせば画質は良くなる”ということができる.したがって,被ばく線量低減と画質との間にはいわゆるトレードオフの関係が成立し,診断に差し支えない範囲内で被ばく線量を可及的に低下させることが原則となる.線量増加による画質改善効果について,多くの自然現象と同様に「飽和」が起こることが期待されるため,最適化の観点から考察することがある程度は可能である.本稿では,X線CT撮影系における被ばく線量と画質との関係について,これまでに検討されてきた事項の中で重要と思われるものについて概説する.