Medical Mycology Journal
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原著
プロポリス4種の組成と抗真菌活性,ラジカル捕捉活性
井上 重治高橋 美貴安部 茂
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2011 年 52 巻 4 号 p. 305-313

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抄録

抗真菌活性を有するブラジル産プロポリス2種,ニュージーランド産プロポリス,日本産プロポリス各1種の成分組成を HPLC/MS で分析した.ブラジル産はいずれも artepillin C と drupanin が主体,ニュージーランド産は pinocembrin と galangin, chrysin, alkylphenol と caffeic acid ester が主体であった.日本産プロポリスにはポリフェノールは存在しなかった.ニュージーランド産プロポリスはタイムチモール精油と比較して,白癬菌殺菌活性,カンジダ菌糸形発現阻害活性,遊離ラジカル捕捉効果が強かったが,カンジダ増殖阻止活性は弱かった.ブラジル産と日本産プロポリスの抗真菌活性は弱かったが,ラジカル捕捉活性は精油より強い.これらの結果はプロポリスには植物精油には期待しにくい特性があることを示しており,今後の抗真菌療法の開発にプロポリスを利用できる可能性を示唆するものである.

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© 2011 日本医真菌学会
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