症例は50歳,男性.近医で慢性糸球体腎炎(人工透析)と間質性肺炎にて通院中であった.その後,間質性肺炎急性増悪にて同院より紹介された.入院直後からICU管理となり,人工呼吸管理,各種抗菌薬治療,ステロイドパルス療法,エンドキサンパルス療法を施行したが,肺炎像は増悪傾向を示した.その後,左中肺野に空洞性陰影を認め,アムホテリシンBを併用したが,第10病日に左の緊張性気胸を併発し永眠された.剖検にて左S3に穿破した空洞病変を認め,特徴的な病理所見から侵襲性肺ムーコル症と診断した.本症において,人工呼吸管理中に気胸を併発した場合,報告例は少ないが致死的となる可能性が高く,文献的考察を加え報告する.