2014 年 55 巻 4 号 p. J157-J163
2011年に国内において皮膚真菌症患者の鱗屑または爪切片から分離された皮膚糸状菌4菌種73株( Trichophyton rubrum 51株,T. mentagrophytes 20株,T. tonsurans 1株,Microsporum canis 1株),および Candida 属4菌種18株( C. albicans 11株,C. parapsilosis 5株,C. guilliermondii 1株,C. pseudohaemulonii 1株)のおのおのに対する新規アゾール系抗真菌薬 ravuconazole(RVCZ)の in vitro 抗真菌活性を,2つの既承認皮膚真菌症治療用経口抗真菌薬,itraconazole(ITCZ)および terbinafine(TBF)のそれと比較した.RVCZ の皮膚糸状菌4菌種に対する幾何平均 MIC または MIC は 0.035μg/ml かそれ以下であり,ITCZ とはほぼ同等,TBF よりはやや低い活性を示した.RVCZ の C. albicans,C. parapsilosis および C. pseudohaemulonii に対する幾何平均 MIC または MIC は 0.03μg/ml 又はそれ以下,C. guilliermondii に対する MIC は 0.25μg/ml であり,RVCZ の抗 Candida 活性は ITCZ とは同程度で,TBF を遥かに上回った.以上の結果から,RVCZは爪真菌症およびその他の難治性皮膚真菌症の主要原因菌を中心とするすべての試験菌に対して例外なく強力な抗真菌活性を発揮することが示された.