Medical Mycology Journal
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原著
カンジダ保有高齢者の口腔カンジダ生菌数および口腔内衛生に及ぼすアロマキャンディ摂取の影響に関する研究
鈴木 基文羽山 和美髙橋 美貴江澤 邦夫山﨑 正利松川 泰治來住 明宣佐藤 喜哉安部 茂
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2015 年 56 巻 1 号 p. J31-J40

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抄録

 オリゴノール,カプリン酸などを含むアロマキャンディを試作し,マウス口腔カンジダ症モデルで有効性を示すことを前報で報告した.本研究では,そのアロマキャンディ(以下,試験飴とする)を健常高齢者が摂取した際の口腔 Candida albicans 生菌数および口腔内衛生状態に与える効果を検討した.健常高齢者男女 20 名を対象にプラセボ対照二重盲検,クロスオーバー,群間比較および飴摂取前後比較を実施した.被験者を 10 名ずつ 2 群に分け,試験飴または対照飴を 1 日 3 回(1粒/回)7 日間摂取した後,14 日間摂取を休止し,再度,最初と逆の飴を 1 日 3 回(1粒/回)7 日間摂取した.飴摂取前後に口腔すすぎ液の C. albicans 生菌数測定,口臭測定およびアンケート調査を行った.その結果,試験飴あるいは対照飴を摂取した両群との間に有意な差が認められないものの,当初 C. albicans の生菌数が 4,000 CFU 以上保有する被験者(高 C. albicans 保有者)において,試験飴群では口腔すすぎ液の C. albicans 生菌数および口臭スコアが摂取前に比較して有意に低下した(p <0.05).アンケート調査でも高 C. albicans 保有者で,口臭,ネバネバ感およびスッキリ感の改善効果が試験飴と対照飴摂取群間に有意な差が認められた(p <0.05).本キャンディは高 C. albicans 保有者では C. albicans 生菌数を減少させるとともに,口腔衛生改善効果を発揮する可能性が示唆された.

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© 2015 日本医真菌学会
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