2016 年 57 巻 1 号 p. J13-J18
外用爪白癬治療薬として創出したルリコナゾール爪外用液について, 2つの感染モデルを用いて抗真菌効果の評価を行った. まず, Trichophyton mentagrophytesの菌液をヒト爪サンプルの爪床側に接種し, フランツセルに固定して9日間培養を行いin vitro爪白癬モデルを作製した. 培養後, ルリコナゾール爪外用液 (1, 3および5%) を爪甲側から1日1回7日間塗布し, 生菌数の指標としてATP由来の化学発光量を測定した. その結果, 製剤中のルリコナゾール濃度依存的にATP量の減少が認められ, 特に3%および5%ルリコナゾール爪外用液は基剤と比較し統計学的に有意なATP量減少が確認された. つぎに, ルリコナゾール爪外用液 (3および5%) を用いてウサギ爪白癬モデルにおける4週間塗布後の治療効果を評価した. その結果, 3%および5%ルリコナゾール爪外用液は, ウサギ爪サンプルの培養評価において白癬菌の増殖を完全に抑制した. 以上から, 高濃度製剤である5%ルリコナゾール爪外用液は, 爪白癬治療に有効な製剤になり得ると考えられた.