Medical Mycology Journal
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原著
ルリコナゾール爪外用液のin vitro爪透過性試験およびスライス阻止円法による爪中薬物濃度分布および抗真菌活性評価
島村 剛宮前 亜紀子新井 聖和嶺村 彩野沢 暁久保田 信雄
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2016 年 57 巻 1 号 p. J19-J25

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抄録

 外用爪白癬治療薬として創出したルリコナゾール爪外用液について, 製剤特性を検証するため, 爪中の薬物濃度分布測定および抗真菌活性評価を行った. In vitro爪薬物透過性試験では, 薬剤塗布後の爪を爪甲表面から爪床側に向けて水平にスライスし, 爪の深さごとに薬物濃度を測定し, 製剤濃度依存性, 爪の厚さへの影響および投与期間の関係を検証した. 0.2, 1, 3, 5および7.5%ルリコナゾール爪外用液を用いた濃度依存性確認試験では, 製剤濃度が高くなるにしたがって, 爪全層で薬物濃度も高くなる傾向が認められた. また厚さの異なる爪に5%ルリコナゾール爪外用液を塗布した結果, 爪中薬物濃度分布は爪の厚さに影響を受けないことが確認された. さらに, 5%ルリコナゾール爪外用液を単回, 7, 14および21日間投与した結果, 投与期間に依存して薬物濃度が高くなることが確認された. つぎに, 5%ルリコナゾール爪外用液と8%シクロピロックスネイルラッカーを14日間投与後に, 爪スライスを含菌培地にのせて阻止円の有無を指標に薬効比較を行った. その結果, 8%シクロピロックスネイルラッカーとくらべ, 5%ルリコナゾール爪外用液は爪深部まで阻止円が確認され, 阻止円形成率は統計学的に有意な高値を示した. 以上より, 5%ルリコナゾール爪外用液は爪深部まで薬物が分布し薬効も認められたことから, 外用爪白癬治療薬として治療効果が期待できるものと考えられた.

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© 2016 日本医真菌学会
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