Medical Mycology Journal
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分子系統解析によりFonsecaea monophoraと同定されたchromomycosisの2例
三友 貴代牛込 悠紀子福田 知雄狩野 葉子塩原 哲夫
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2016 年 57 巻 4 号 p. J133-J139

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抄録

黒色真菌による感染症を黒色真菌感染症と呼ぶが,その原因菌は単一ではなく,臨床像や菌の寄生形態もさまざまである.本症は,黒色分芽菌症 (chromoblastomycosis),黒色顆粒菌腫 (black-grain mycetoma),黒色菌糸症 (phaeohyphomycosis) に大別される.原因となる黒色真菌は多種類あるが,これまでわが国で最も多い原因菌はFonsecaea pedrosoiであり,黒色分芽菌症では分離菌の90%を占めるとされてきた.一方Fonsecaea monophoraは,rRNA遺伝子のITS領域の分子系統解析の結果から,Fonsecaea 属をF. pedrosoiF. monophora とそれ以外の種に分類したことにより派生してきた菌種である.今回,われわれは顔面および上腕に生じたchromomycosisの2例を経験した.2例とも真菌培養およびスライドカルチャーではF. pedrosoiF. monophoraの鑑別ができなかったが,分子系統解析の結果,いずれもF. monophora が原因菌であることが確認された.分子系統解析の導入により,これまでF. pedrosoi と報告されていたもののなかにもF. monophora が多く含まれることはすでに明らかになっており,Fonsecaea 属を原因菌とする過去の報告例をどのように扱うべきか,改めて考えてみる時期にきているように思われる.

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© 2016 日本医真菌学会
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