Medical Mycology Journal
総説
クリプトコックス感染における宿主認識と生体防御機構
佐藤 光川上 和義
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キーワード: Cryptococcus neoformans, PAMPs, TLRs, NLRs, CLRs
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58 巻 (2017) 3 号 p. J83-J90

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抄録

クリプトコックスは細胞壁のまわりに多糖からなる厚い莢膜をもった酵母型真菌であり,経気道的に肺へと感染する.正常な免疫機能をもつ多くの宿主では,本真菌は排除もしくは肉芽腫に封入され,不顕性感染となるが,一方で,後天性免疫不全症候群 (acquired immune deficiency syndrome: AIDS) 患者などの細胞性免疫の低下した宿主においては,重篤な肺クリプトコックス症や脳髄膜炎を引き起こす.これら病原体の排除には,マクロファージや樹状細胞などの自然免疫細胞による病原体の微生物関連分子パターン (pathogen-associated molecular patterns: PAMPs) の認識が,感染防御のファーストラインとして重要な役割をもつ.近年の解析から,これらPAMPsを認識するパターン認識受容体 (pattern recognition receptors: PRRs) が数多く同定されてきた.クリプトコックスにおいては,Toll-like receptors (TLRs),NOD-like receptors (NLRs),C-type lectin receptors (CLRs)などの関与が解析され,TLR9がDNAを,NLR family, pyrin domain-containing 3 (NLRP3) が細胞壁成分を,Dectin-2が菌体内部の多糖を,マンノースレセプター・DC-SIGNが細胞壁・莢膜成分のマンノプロテインをそれぞれ認識することが明らかにされてきた.今後のさらなる解析によって,クリプトコックスに対する感染防御機構が解明され,新たなワクチンや治療法の開発につながることが期待される.

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© 2017 日本医真菌学会
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