Medical Mycology Journal
総説
生体内におけるアスペルギルスの生き残り戦略
田代 将人泉川 公一
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58 巻 (2017) 4 号 p. J133-J139

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抄録

 アスペルギルスは環境において繁栄を遂げてきた生物であり,意図せず入り込んだヒト生体内は,自身の生存・増殖において過酷な環境である.ヒト体内は外環境と異なり,37℃以上の高温環境,補体をはじめとした種々の液性成分,気管支線毛運動による物理的排除や貪食細胞による殺菌など,微生物を排除する機構が多数存在する.アスペルギルス属のなかでもアスペルギルス症の原因真菌として最も多くを占めるAspergillus fumigatus は,これらの機構をさまざまな機序で逃れ,ヒト体内での生き残りを図っている.A. fumigatus は40℃以上の高温でも増殖能が活発であるという特性をもっており,原因真菌として最も多い理由の1つとなっている.また,gliotoxinをはじめとした種々の二次代謝産物によりヒト細胞に障害を与え,気管支線毛運動を抑制し,排除から逃れようとする.貪食細胞に対しては,菌糸の伸長そのものが貪食作用に対する物理的な防御機構となり得る.本稿では,ヒトの微生物排除機構から,いかにアスペルギルスが逃れるのかについて概説する.

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© 2017 日本医真菌学会
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