Medical Mycology Journal
総説
日本発血中 (1→3)-β-D-グルカン測定法
—その誕生からグローバル化までの足跡と今後の展望—
大林 民典
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58 巻 (2017) 4 号 p. J141-J147

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抄録

 カブトガニ血球中のβ-グルカン感受性因子の発見に基づいて血中(1→3)-β-D-グルカン測定法(以下,β-グルカン測定法)が,深在性真菌症の補助診断法として1985年,わが国で誕生した.多くの臨床治験ののち,今やβ-グルカン測定法は内外の深在性真菌症の診療ガイドラインに取り上げられ,世界のどこでも利用できる.しかし,わが国では比色法と比濁法というβ-グルカンに対する反応性が大きく異なる2つの方法が使われているため,両者の測定値を比較する際には注意が必要である.比濁法の血中β-グルカン1pg/mlは,大部分の例で,比色法の7pg/ml前後に相当する.したがって比濁法のカットオフ値は比色法より著しく高くなり,偽陰性による見逃しの可能性が高くなる.また最小検出限界値も比色法に換算すると比濁法では60pg/mlと高く,低値域の測定値の上昇による早期診断に寄与できない.海外で使われているいくつかの試薬もまた感受性が異なる.データの互換性を確立し,本法の有用性をさらに高めるには,国際的な標準化ないしハーモナイゼーションが必要である.将来,国際的な生物保護の流れに沿って,遺伝子工学がカブトガニ凝固酵素の供給源としてカブトガニに取って代わり,標準化の新たな機会をもたらすかもしれない.

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© 2017 日本医真菌学会
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