理学療法の歩み
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脳損傷後の寝たきり状態に対してチームで取り組んだ座位保持練習の効果
―座位保持耐久性,意識水準の改善に着目して―
佐藤 美紀遠藤 丈晴菊池 克哉武智 裕子辻村 淳稲嶺 陽子竹本 敦雄
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2006 年 17 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

 寝たきり状態の患者には,介助量が多く循環動態が不安定なため,離床が困難になっているケースが存在する。こうしたケースの離床を安全に進めるために,ベッドサイドでのチームアプローチを導入した。対象は,重度脳損傷患者10名で,いずれも高次脳機能障害を合併していた。アプローチは週1回の頻度で,対象者をリクライニング式車椅子へ移乗させ,適切なポジショニングを図りながら座位保持及び上肢の活動を促した。リスク管理については,起立性低血圧の症状の有無で判断した。さらに,状態の急変しやすい患者は,血圧計とパルスオキシメーターにてバイタルサインをチェックした。6ヶ月に亘るアプローチの結果,途中悪化中止や転院した5例を除き全症例で座位時間の延長が見られた。意識水準が改善したものは4例で,そのうち2例に随意運動が出現した。今回の取り組みより,重度障害による寝たきり状態の患者においても改善の可能性が存在することが示唆された。

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© 2006 宮城県理学療法士会
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