Papers in Meteorology and Geophysics
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近畿地方北部で観測された地殻歪の長期的変化
山本 剛靖小林 昭夫
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2009 年 60 巻 p. 17-24

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抄録

   近畿地方北部の敦賀・今津観測点においてボアホール型3成分歪計による観測が行われている。両観測点で得られた1996年から12.5年間のデータについて調べた。今津のデータに見られる季節変動は並行観測されている地下水位との相関が高く、敦賀のデータに見られる季節変動は降水量を入力としたタンクモデルを使って説明することができた。設置後の安定化過程を指数関数で近似し、これを除去した。季節変動、指数関数的減衰過程を除去した歪変化には、2000年頃と2005年頃に歪速度変化が見られる。この歪速度変化は機器の感度変化、および降水量の長期的変化では必ずしも説明できない。東海地域で同時期に発生したゆっくりすべりによって生じうる歪を計算して観測された非定常的な歪変化と比較したところ、歪の大きさは観測値の方が1桁大きいが主歪の方向は整合的だった。

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© 2009 気象庁気象研究所
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