Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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長周期地震動と地盤構造との関係について
武藤 大介勝間田 明男
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2016 年 66 巻 p. 1-14

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抄録

顕著な地震の発生直後に地動の分布を把握することは重要である。地動は浅部地盤構造の影響を強く受けるが、地震計の分布は疎らであるため、地震計が存在しない地点においては、浅部地盤構造データを用いて、周辺の地震計の観測値から地動を推定することが望まれる。我々は、浅部地盤構造を考慮した補正を取り入れて様々な周期帯の地震動分布を推定するため、浅部地盤構造と地動の関係について調査した。その結果周期3秒以上の最大速度応答は深部地盤構造の一次固有周期と相関があることを見出した。また、それより短周期では、深さ30 mのS波速度(AVS30)との相関が強いことが分かった。しかし近接する2観測点における最大速度応答の比は、しばしば地震によって異なる値を取る。これは、構造のみに頼った推定には限界があることを表す。他方、速度応答の継続時間と構造との間には顕著な相関は認められなかった。これらの結果は相対速度応答から得られたものであるが、擬似速度応答を用いても結果は同様である。

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© 2016 気象庁気象研究所
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