Papers in Meteorology and Geophysics
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富士山頂での6年間の観測結果から得られた日本の対流圏中層におけるオゾンの特徴
堤 之智
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2018 年 67 巻 p. 45-56

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抄録

1992~1998年の6年間にわたって富士山頂(3776 m)で対流圏オゾンの連続観測を行った。この観測は、日本の対流圏中層におけるオゾンのいくつかの特徴を示している。山岳の気象観測所は通常山谷風の影響を受けるが、平均オゾン濃度のわずかな日内変動量(0.77ppbv)は、山頂の空気が境界層の影響をほとんど受けていないことを示している。山頂でのオゾンの年変動は、5月と10月の最大値、8月と12月の最小値の双山型の季節変化を示している。この双山型の季節変化の原因となっている夏の最小値は、オゾン濃度が低い海洋性大気が夏季に山頂で支配的である結果である。しかし、6月には水蒸気混合比が低く渦位(PV)が高い大気中で高濃度のオゾン(60ppbv以上)が観測されることがあり、この高濃度オゾンは成層圏や上部対流圏での起源を示唆している。一方、冬季オゾンの小さな変動性は、冬季のオゾン光化学と強い帯状風によると示唆される。また成層圏からのオゾン流入頻度の減少もこの冬季のオゾンの小さな変動性に寄与すると考えられる。晩秋から初春にかけて、日平均オゾン濃度と快晴時日射量の変化の同期と12月下旬の両方の最小値の発現時期の一致は、この間に日射が山頂で観測されたオゾン濃度を制御していることを示唆している。春季になると、日平均オゾン濃度は日射量の増加に付随して増加している上にオゾン濃度はPVと相関しておらず、山頂での春季のオゾン最大は主にオゾンの光化学生成の結果であることが示唆される。しかし、成層圏オゾンの間接的な流入や経時した成層圏オゾンの春季のオゾン最大値への部分的な寄与の可能性は否定できない。山頂での6年間のオゾン観測は、0.49ppbv毎年の増加トレンドを示しているが、有意水準95%では有意な結果ではない。

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