日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
ニガクリタケおよびモエギタケ科属種子実体における毒成分ファシキュロールEの生産性
岡 久美子西田 麻理奈長澤 栄史牛島 秀爾石原 亨前川 二太郎
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2015 年 22 巻 4 号 p. 147-152

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抄録

モエギタケ科に所属するHypholoma fasciculare(ニガクリタケ)は毒きのこであり,主要な毒成分としてファシキュロールEを生産する.これまでに本種以外のきのこ種子実体にもファシキュロールEが含まれていることが報告されているが,詳細な調査は行われていなかった.そこで本研究では,H. fasciculareおよびモエギタケ科属種子実体におけるファシキュロールEの含有量を調査した.その結果,供試したHypholoma属種の子実体すべてよりファシキュロールEが検出され,本属の近縁属であるPholiota属やStropharia属種のいくつかの子実体中においても極めて少量であるが検出された.検出された子実体には食用きのこ種も含まれていた.さらに,分子系統解析の結果,ファシキュロールE生産性はモエギタケ科内のHypholoma属との系統的類縁性と密接に関係していることが示唆された.

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2015 日本きのこ学会
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