2015 年 23 巻 3 号 p. 120-124
乳酸菌の添加が発酵リンゴ粕(FAP)の品質に及ぼす影響について評価した.微生物保存機関分譲による9菌種16菌株を用いて,パウチを用いた発酵実験を行い,継時的に開封してpH,有機酸組成,微生物構成を測定した.多くの供試菌株について,添加した乳酸菌はリンゴ粕発酵に寄与することが示唆された.さらに,供試菌株の中からLactobacillus plantarumである1菌株を選択して調製したFAPを培地中に混合してブナシメジを栽培し,その添加効果を評価した.その結果,過剰なFAP添加は菌糸体成長に影響が出たものの,おおむね培地中9%(乾物ベース)までの添加であれば,栽培日数,収量,子実体中遊離アミノ酸量について無添加と差はなかったことから,FAPがきのこ培地原料として利用可能であると思われた.